患者様向け
1-変形性股関節症
症状
変形性股関節症の主な症状は、股関節の痛みと機能障害です。進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛や夜間痛に悩まされることになります。
一方日常生活では、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になります。階段や車・バスの乗り降りも支障を来たします。
原因と病態
女性の発症率が多い。多くは子供の頃の股関節の形成不全など発育障害の後遺症が主なもので股関節症全体の80%といわれています。明らかな原因が無くても年齢とともに股関節症を発症する場合もあります。
診断
単純X線(レントゲン)写真にて確定します。関節の隙間が狭くなったり、軟骨下骨が硬くなったりします。
予防と治療
日常生活動作では、動作による痛みの悪化がないなど、関節の状態を観察しながら負荷をかけましょう。過体重があるようでしたらダイエットが必要です。水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週2、3回行っていただくと理想的です。保存療法で症状が取れない場合は手術療法を考えます。当院では、保存療法のひとつとして「遠絡療法」を提供しています。
2-股関節臼蓋形成不全
症状
臼蓋形成不全の問題点は、荷重を伝達する部分の面積が小さいため、単位面積あたりの荷重負荷が大きくなることです。若いうちは軟骨の厚みは保たれていて、症状はほとんど出現しません。 しかし、軟骨の変性は少しずつ始まっていることが多く、 過剰な負荷により関節軟骨は少しずつ傷むこととなり、最終的には股関節痛や跛行などを呈する変形性股関節症に移行します。
原因と病態
日本人では成人男性の0~2%、女性の2~7%が股関節形成不全といわれており、その方たちに小児期に何かあったか聞いても殆ど何もありません。乳児期の臼蓋形成不全は基本的に自然改善すると考えるのが通説です。
幼少期に何らかの股関節の病気や怪我があると股関節の発育は不良になりこのような病態を生じます。
診断
X線(レントゲン)写真で判定されます。
【症例1】大腿骨頭置換術後の股関節痛
この患者様(55歳女性 渋谷区在住)は、右股関節の痛みに対して大腿骨頭置換術という手術を受けましたが、術後も常時耐えられないような痛みが継続。リハビリなど続けてこられましたが、5年経過するうちに左の股関節や腰痛、首痛から頭痛などもするようになり、ストレスで精神的にも不安定になりがちな状態になられていました。
小泉医院遠絡医療センターは、ご友人のお薦めで受診されました。
遠絡療法での初回治療で、常にあった股関節の痛みが治まり
「久しぶりに痛みのない感覚が味わえて、嬉しいです。」と嬉しいコメントをいただきました☆彡
長年、手術をしても改善しない股関節の痛みに悩んでいた方の、初回治療後のインタビューをご紹介します。手術は成功と言われたけれど、もとからの痛みに改善がない。一時的には良かったが、また再発してしまったというようなご相談をときどきお受けしますが、遠絡療法で効果があるケースがとても多いです。
股関節手術後の痛み 小泉医院遠絡医療
医療従事者向け
1-変形性股関節症とは
正常な股関節は大腿骨の一部である球形の骨頭とこれを支える受け皿状をした臼蓋で構成されております。
両者は靭帯および関節包により包まれておりこの向かい合った骨の表面はそれぞれ3、4ミリ程度の表面平滑な軟骨が覆っています。
軟骨の表面を滑膜組織から分泌される関節液により潤されることで滑らかに多方向への動きが可能となっております。
しかし、軟骨は再生しにくい組織なので徐々に軟骨の摩耗や変性により厚みが薄くなり、やがて、軟骨下の骨が露出し臼蓋側と骨頭側の骨がお互い接触するようになります。変形性股関節症とはこのように軟骨の摩耗や変性から不可逆的かつ進行性に関節が変形していく病気です
[原因分類]
変形性股関節症患者は女性や高齢者に多くみられます。
原因によって一次性のものと二次性のものとに分類されます。
①一次性変形性股関節症:股関節が正常にもかかわらず変形が進行する場合を一次性変形性股関節症と言います。関節軟骨の加齢に加えて肥満や重労働などによる繰り返される過剰な負荷が軟骨を傷める原因とされますが、基礎的な素因がありません。欧米人では一次性変形性股関節症が多いと言われています。
②二次性変形性股関節症:生まれつきの先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全などが原因で発症するものです。他の原因として細菌感染や結核などの炎症性の関節炎や大腿骨頭すべり症やペルテス病、事故による股関節脱臼や骨折、そしてステロイドやアルコール多飲が原因と言われている大腿骨頭壊死症などがあります。日本では二次性変形性股関節症の割合がとても高いです。
前期、初期の股関節症
前期関節症では関節が軽度変形しているだけですが、関節症がすすんで初期関節症になると、軟骨の厚さが薄くなることで関節の隙間が狭くなったり、軟骨下骨が硬くなったりして骨硬化を呈します。
進行期、末期の股関節症
進行期関節症、末期関節症となると、関節の中や周囲に骨棘とよばれる異常な骨組織が形成されたり、骨嚢胞と呼ばれる骨の空洞ができたりします。
最終的には体重がかかる荷重部の関節軟骨は消失し、その下にある軟骨下骨が露出します。
[症状]
股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。股関節は鼠径部にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。
関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては常に痛むような持続痛や夜寝ていても痛む夜間痛や跛行に悩まされることになります。
一方日常生活では、運動や長歩きした後の疲労感、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になります。また長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなりますので、台所仕事などの家事労働に支障を来たします。階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。
[診察及び検査]
問診:乳児期の股関節脱臼や臼蓋形成不全に起因することも多いため既往歴や遺伝的に関節変形を来す病気があるか家族歴などの情報が重要です。
Faber test:股関節を曲げて外に開きさらに外にひねるような形にして痛みが誘発されるようであれば股関節の病気が強く疑われます。
下肢の脚長差:下肢の長さが反対側よりも短くなっていることもあります。
単純X線(レントゲン)写真:両側の股関節で比較し、臼蓋形成不全の診断、軟骨の厚みの評価、さらに骨棘や骨嚢胞についての情報が得られます。
CT検査:3DCTなどにより股関節の状態を立体的に評価し大きさなども計測できるため術前計画に有効です。
MRI検査:関節軟骨の一部である関節唇損傷の有無や関節内水腫が確認できます。また大腿骨頭壊死や腫瘍性の疾患の診断にも有効です。
[治療]
変形性股関節症の治療としては、痛み止め薬などの薬物療法や、リハビリテーションなどの運動療法をおこないます。
進行予防の第一は、股関節周囲筋の筋力トレーニングです。過体重があるようでしたらダイエットも必要です。
一方、痛みがあるとどうしても歩かなくなり筋肉が衰えてしまいますので、できれば水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週数回行っていただくと理想的です。
運動療法はどうしても疼痛を誘発してしまう可能性がありますので、慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。
遠絡療法では、痛みや可動域の改善がある程度確認できる例を多く経験しています。保存療法として有効です。
2-股関節臼蓋形成不全
臼蓋形成不全とは、大腿骨頭の受け皿となっている臼蓋が浅く、狭い骨格形状の状態を指します。成長に伴い臼蓋の大きさ、形態は変化するため、臼蓋の発育が悪い、小さいという意味で形成不全と名付けられました。本来、臼蓋は荷重を伝えやすく、かつ大腿骨の動きを妨げない、丁度良い大きさ、適度なかぶり具合が良い状態です。実際には、骨頭の大きさの80~90%程度の蓋であることが良好なバランスとされています。臼蓋形成不全は骨頭の大きさに比較して臼蓋は約50%しかありません。
幼少期に何らかの股関節の病気や怪我があると股関節の発育は不良になりこのような病態を生じますが、遺伝性の場合や原因の明らかでない場合もあります。
[臼蓋形成不全と変形性股関節症の関係]
臼蓋形成不全の問題点は、荷重を伝達する部分の面積が小さいため、単位面積あたりの荷重負荷が大きくなることです。若いうちは軟骨の厚みは保たれていて、症状はほとんど出現しません。 しかし、軟骨の変性は少しずつ始まっていることが多く、過剰な負荷により関節軟骨は少しずつ傷むこととなり、最終的には股関節痛や跛行などを呈する変形性股関節症に移行します。
[治療]
臼蓋形成不全では股関節の安定性が低下するため、症状の軽微な初期段階では変形性股関節症への進行予防が目的となり、これを補えるのは筋力しかありません。一方、程度の強い臼蓋形成不全は比較的早期に変形性股関節症に移行しうるため、臼蓋を大きくする手術を行う場合もあります。
遠絡療法では、痛みや可動域の改善がある程度確認できる例を多く経験しています。保存療法として有効です。
当院での治療実績が多い疾患
交通事故後遺症
頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)