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予約診療
医療法人東西医会 小泉医院遠絡医療

埼玉県草加市中央1-1-18  048-927-5370

頚椎捻挫/頚椎椎間板ヘルニア
交通事故後遺症

難病指定医·遠絡指導医による
遠絡医療・バイオレゾナンス
EAT. ア-ユルヴェ-ダ. リハビリ

の診療をしている総合医院です

患者様向け

頚痛(くびつう)/頚部痛(けいぶつう)

頚痛(頚部痛)は、症状の出方と原因によりいくつかの疾患が考えられます。下記の整形外科的な疾患以外にも、風邪やインフルエンザなどの感染症に伴う頚部痛やリウマチの場合もあります。正しい診断と適切な治療が重要です。

►急性頚部痛/寝違え

俗に「寝違え」は、睡眠中の無理な姿勢の持続により頚部の筋・筋膜に炎症が起こった状態とされ、目覚めた時点から頚部から肩、背中にかけて強く痛み頚部の自由な動きが制限されます。

►頚椎捻挫/外傷性頚部症候群(むち打ち症)

頚椎捻挫の多くは、運動時の外傷などで発症します。「むち打ち症」と呼ばれる交通事故での外傷による頚椎捻挫は、現在は外傷性頚部症候群として取り扱われています。外傷性頚部症候群、交通事故後遺症について下記をご参照ください。

►頚椎椎間板ヘルニア

きっかけなく頚が痛み、腕、手のしびれを伴う場合もあります。うがいなどで頚を後屈した時に痛むことが多く、レントゲン検査やMRI検査で椎間板が変性して髄核が飛び出し、脊髄や神経根を圧迫しているのが確認できます。痛みは片側で、肩甲骨周囲まで痛む場合もあります。

►頚椎症性神経根症

30~50歳代に多く、悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることがありますが、しばしば誘因なく発症することもあります。

加齢変化によって骨の出っ張り(骨棘)や椎間板の膨隆(ヘルニア)が起こり、飛び出す場所により、神経根の圧迫、脊髄の圧迫あるいは両者の圧迫が生じます。首や肩、腕に痛みやしびれが出たり(神経根の障害)、箸が使いにくくなったり、ボタンがかけづらくなったりします。足のもつれや歩行障害が出ることもあります(脊髄の障害)。

►頚椎症性脊髄症

加齢変化による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の変化によって、頚椎の脊柱管(骨の孔)の中にある脊髄が圧迫されて症状が出ます。

ボタンのかけ外し、お箸の使用、書字など指が不器用になったり、歩行時の脚のもつれ感や階段で手すりを持たないと不安定な感じなどが出ます。手足のしびれが出る場合もあります。

1-外傷性頚部症候群・頚椎捻挫・むちうち損傷

[原因]

頚椎捻挫とは追突事故などの交通事故やスポーツ事故、転倒などで頚部に不意に衝撃を受け、頭が短時間に前後に揺さぶられることで首(頚椎)に負担がかかり痛みや不調が出るものです。衝激を受けた時の首の動きが鞭の動きに似ていることから鞭打ち損傷とも呼ばれています。なお、外傷による頚椎周囲の筋肉や靱帯、神経や血管などの組織に損傷を受けた状態ですので外傷性頚部症候群とも呼ばれています。

[症状]

頚椎捻挫の症状は、すぐに痛みが出る場合もありますが、数時間から数日経ってから症状が出る場合もあります。症状としては、頚部の痛み、頚から背中にかけての痛み、頚部の痛みのため頚椎運動が制限されます。

また頚椎捻挫が重症化した場合には、交感神経や筋肉が異常に緊張することにより、頭痛、めまい、耳鳴り、手のしびれ、倦怠感、腰が重い、上半身がしびれる、眼が疲れる、などの症状も併発します。

症状の多くは2~3ヵ月以内に徐々に良くなっていくと言われていますが、数ヵ月ないし数年と症状に苦しめられる方もいらっしゃいます。

►頚椎捻挫の主な症状

[診断]

一般的にはレントゲン検査によって診断を行いますが、骨折や神経の傷害はレントゲン検査ではわからないこともあるため、MRIやCTなどで追加確認の時もあります。起立性頭痛(起き上がると頭痛が増強する)を主とし、それに付随して、頚部痛、全身倦怠(疲れやすい)、めまい、吐き気、耳鳴り、”うつ”などきわめて多彩な症状があれば脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)を疑い、専門病院で精査しましょう。

[治療]

軽度なものは、局所の安静のみで改善するものもありますし、骨や軟部組織の損傷が認められる場合は、頚椎カラーなどで頚部の固定を行うこともあります。ただし、不必要な頚部の固定は、却って症状を長引かせる可能性があり注意が必要です。

一定の症状がある場合は、リハビリが適応となります。温熱や牽引以外にも、局所の柔軟性訓練や筋力訓練、機能訓練などが症状の緩和に有効な場合もあります。症状が強く長引いている場合には、薬物療法や理学療法以外にブロック療法を行う場合もあります。

なかなか軽快しない頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)の症状に対しては、当院で提供している遠絡療法が大いに適用となります。

2-外傷性頚部症候群・頚椎捻挫に対するQ&A

Q1むちうちで痛み・痺れが発生した場合、事故によるものでしょうか?

頚部には筋肉や靱帯、骨、血管、神経など、様々な組織が存在しますが、中でも神経の圧迫をうけたり、傷めたりする場合などは腕や手にしびれが出ることがあります。しびれについても、時間の経過とともに症状は落ち着いてくることが多いですが、脱力感、腕や手に力が入らない、触っている感覚がわかりづらいといった症状を伴う場合もあります。

頚椎検査でX線所見を認めなくても、事故の前に痛み・痺れの症状がなかったのに、事故をきっかけとして症状が発生することもあります。あるいはMRI検査で年齢に応じた加齢変化を認めますが、この加齢変化は外傷との関係はありません。しかし、事故などの強力な衝撃で、頚部の神経を損傷する場合は、痛み、痺れが発生することがあります。

Q2むち打ちの治療法はどんなものがありますか?

発症して日が浅いうちは、頚部の組織が傷ついたり炎症が起こっている可能性もあるため、無理に首を動かさないようにし、痛みに応じて消炎鎮痛薬が処方されます。必要に応じて頚椎カラー(固定具)という装具をつける場合もあります。

骨折や脱臼がないのに長期にわたって頚椎のカラー装着を行うと、頚部痛や肩こりが長期化する原因となります。安静期間はできるだけ短い方がよいでしょう。慢性期には安静や生活制限は行わず、積極的治療を受けた方が良いです。むちうちに対するリハビリの内容は物理療法と運動療法の大きく2つに分けられます。物理療法は機械などを用いて温めたり(温熱療法)、電気を流す(電気療法)ことで筋肉の緊張を緩和したり循環を改善し、痛みの軽減や動きの改善を図ります。運動療法はストレッチや筋力を鍛える運動などを指し、症状に応じてそれぞれを組み合わせて行います。

頚椎捻挫の治療にあたって、当院は東洋医学、西洋医学とも駆使してやってきましたが、一番良いと思われる治療法は遠絡療法です。軽い痛み、痺れは瞬時に除去します。難治性な症状も改善させることを、多く経験しております。

Q3むちうちの治療に冷湿布や温湿布のどちらを使用するのですか?

湿布は冷湿布と温湿布の2種類があります。湿布の効能は、貼付面に含まれる消炎鎮痛作用によるものですから、筋肉に傷がついたりして炎症が起こっている場合などは痛みを抑えることができます。温湿布には香辛料がはいっているため、皮膚に敏感な方はややピリピリ感じます。冷湿布といっても、冷やす効果はなく、痛みを消去する効果が主です。冷湿布や温湿布のどちらを使用するかは、個人差があるため、一概に言えませんが、貼った感覚で気持ちよくて、楽になる方を選んでいただければ大きな問題はないでしょう。

Q4むちうちと診断されました。安静期間はどれくらいですか?

組織の損傷や症状によりますので一概には言えませんが、一般的な軽症例では安静期間は数日~1週間程度が推奨されています。しかし過度な安静は症状を長期化させる可能性があるため、医師の指示に従って、無理のない範囲で普段通りの生活や仕事を行ってください。

Q5交通事故によるむちうちの通院期間の目安はどれくらいですか?

一般的には症状が軽快するまで通院することが勧められます。
多くは2~3ヵ月以内に改善することが多いですが、半年以上の長い期間症状に苦しめられる方もいらっしゃいます。交通事故で治療効果が認められなくなった時点で「症状固定」と言って、自賠責保険による治療は終了することが一般的です。この時、症状が残る場合は後遺障害として後遺症を診断し、健康保険による治療に移行します。

交通事故は加害者や被害者との感情的要因、事故に対する補償問題が妥協案へ移行できるかどうかなど、様々な理由から治療が長引きやすいとされています。通院頻度や通院期間、後遺障害の認定などは個々の事例によって大きく異なりますので、担当医としっかり相談されることをお勧めします。

Q6交通事故によるむち打ちで診断書が必要な場合、どこに行けば良いですか?

初診時の診断書はかかりつけの医療機関で担当医師が作成します。後遺障害診断書を依頼する時には、交通事故のかかりつけの医療機関しか発行できません。施設によって異なりますが、数日から長い場合は数週間かかることもありますので、期限等に余裕をもって依頼をしましょう。接骨院などでは診断書や後遺障害診断書は作成できないため注意が必要です。

Q7小泉医院遠絡医療センターでの交通事故治療の特徴は?

①小泉医院遠絡医療センターの医師は難病指定医の資格を持っております。他の医療機関での治療にて軽快しない場合でも、遠絡治療によって、痛み、しびれが改善する症例が多々あります。

②交通事故治療でのリハビリテーションは、国家資格者による施術を行います。

③自賠責保険の適用の場合は、治療費がかかりません。

④提携先の医院は医療法人草加整形外科内科、医療法人やつか整形外科内科、理学療法士約20名(博士・修士を含む)が在籍しております。草加整形外科内科では第一土曜日午後は脊椎専門医、第四土曜日午後は肩専門医による外来診療も行っております。

⑤月曜日〜土曜日は18:00まで受付しています。また日曜日・祝日は提携先の接骨院にて治療を受けていただけます。

3-頚椎椎間板ヘルニア

[病態]

頚部のところで脊髄を中に納めている骨は頚椎と呼ばれます。頚椎は全部で7つあり、各頚椎間には椎間板と呼ばれる組織があります。この椎間板は上下の頚椎を連結しており、ある程度の弾力がありますが、加齢による変性、姿勢不良、激しい運動の方(例えばラグビーなどのコンタクトスポーツ選手)や交通事故による強烈なむちうちを起こした方は、椎間板にかかる負担が強いためヘルニアを発症します。頚椎の間をつなぐクッションである椎間板の中に存在する髄核というゲル状の組織が、外に飛び出してしまった状態です。飛び出す場所により、神経根の圧迫、脊髄の圧迫あるいは両者の圧迫が生じます。

[症状]

通常椎間板ヘルニアは背中の方に向かって飛び出します。飛び出した先には脊髄と言われる脳から降りてきた神経の束が存在します。また少し左右にそれると、脊髄から左右の手に向かって神経根という神経の一部が枝分かれしています。ですので、飛び出した髄核が脊髄を圧迫した場合(脊髄症)と、神経根を圧迫した場合(神経根症)では異なる症状を呈します。

症状は大きく分けて神経根症と脊髄症の二つのものがあります。

一つは神経根の障害:一側の首や肩、腕に激しい痛みやしびれが出たり、ほぼ2-3週間でピークを越え、あとには鈍い痛みやしびれが残り、これが数週間から数ヵ月で軽快するという経過をとることが多いです。

もう一つ脊髄の障害:両手の「しびれ」、両手を使って行う細かい動作(箸を使う動作・ボタンをかける動作・ページをめくる動作など:巧緻運動)が徐々に出来にくくなる、両足が足先から段々としびれる、歩行が不自由になる、膀胱直腸障害(尿や便が出にくくなったり、逆に頻尿や失禁がみられる)、これらの症状がみられます。

[治療]

一般的に、一側上肢へと放散する痛みのみ場合には、保存的療法や安静により軽快することが多いです。保存的療法としては、頚椎牽引療法・頚部カラー固定・頚部のマッサージなどの理学的療法があります。頚椎カラーは長期間使用していると頚部の筋肉が萎縮してしまい、かえって長期にわたる頚部痛が残ることもありますので、漫然とした使用は避けるべきです。痛みには消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などが用いられます。痺れはビタミンB12を使用します。

保存的療法でも上肢痛が軽減しない場合、上肢の筋力低下が改善しない場合、両側の手足のしびれ・麻痺や筋肉の萎縮・巧緻運動障害・歩行障害などが見られる場合や症状の悪化・進行が見られる場合には、手術的療法を検討する必要があります。

頚椎椎間板ヘルニアの保存療法、物理療法、リハビリで軽快が得られなかった場合でも、遠絡療法で諸症状が改善される症例を多々経験しています。特に、手術の適用はないにも関わらず、症状がなかなか改善されない場合は、遠絡療法をおすすめします。

[症例1]追突事故から手指の痺れと握力低下の改善例(80才男性)

この男性は、2014年11月に、交差点で信号待ちをしていたところ、後ろから追突され、その後、頚の痛みや頭重感、時々起こるめまい感と共に、両側上腕~手指の痺れが強くてボタンが思うようにはめられない状態となりました。牽引や電気治療、マッサージ等の理学療法を継続していましたが、両上腕から手指の痺れは、ほとんど改善がありませんでした。

翌年4月より遠絡療法による治療を月2~3回物理療法と併用したところ治療4回目、5月末には指の痺れは改善し、完全に出なくなりました。ボタンを目で確認しなくても手触りのみではめられるようになり、着替えにも全く支障をきたさなくなりました。

さらに、遠絡療法による治療を4回程度続けたところで、指先に残るわずかな違和感も無くなり、握力も元通りに改善し、ゴルフのクラブも振れるようになりました。

解説:

この男性は、もう少し遠絡療法の開始が遅れれば、症状固定で後遺症となるところでした。事故の衝撃による頚椎部の微細炎症は遷延化し、慢性的に脳幹部や間脳への血流や脳脊髄液の循環が滞るため、自律神経や内分泌、脳神経の働きにも影響し、精神的にも影響を与えます。早めに、遠絡療法で対応させていただくことで、このような状態に陥ることを予防することが可能です。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例2]交通事故に出現した頚部痛、頚の重度の運動制限、顔面の無表情、動作緩慢、よだれ、呂律が回らないなどの症状が改善した症例(65才・男性)

7月1日交通事故後にあい、鞭打ち症状(頚の痛み、頚の重度運動制限)。7月30日同窓会で挨拶をする際に「言葉がうまく話せない」「よだれが出る」などがありました。

9月30日箸で食べ物を挟むことが出来なくなり、
10月1日顔が無表情となり、身体の動作が鈍くなりました。
翌年5月に呂律が回らない(構音障害)が出現し、当院に来院されました。
初回治療後、頚の痛みは消失し、動きも良くなり、よだれも止まりました。
顔の表情も戻り、身体の動作も軽やかになりました。

解説:

頚の痛みや運動制限は、頚椎の鞭打ちによる症状です。表情がなくなる、動作緩慢などの症状は、髄液の流れはアトラス(第一頚椎)の炎症で悪くなったと推測されます。髄液の流れは延髄背側の正中孔が圧迫されると、第四脳室→中脳水道→第三脳室→Monro孔→側脳室と髄液の蓄積が起こり、側脳室が拡張されます。すると、まずは側脳室前角の拡張により視床前部が圧迫され、細胞の圧迫により股関節の麻痺が起こり、両下肢が重くあげにくくなります。更に、進行すると、視床の後角が圧迫され、肩関節の麻痺が起こり、両上肢があげにくくなります。更に、脳室が全体的に拡張すると大脳辺縁系が圧迫されることにより、運動性感情障害、無表情、動作緩慢などの症状がでます。

呂律が回らない原因は舌の神経細胞の圧迫による麻痺と考えます。舌根部を全体的にコントロールするのは舌咽神経です。しかし、舌の痺れは迷走神経が関係します。舌の左右へ動きは舌下神経がコントロールします。構音障害は脳神経の舌咽神経、迷走神経、副神経が関与します(球麻痺)。「よだれ」は顔面神経の麻痺で出現します。顔面神経は「橋」にあります。「橋」は意識障害と関係しますから、交通事故の際に意識障害があったことも推測されます。言葉が滑らかに話せないのは、大脳の前頭葉の障害もあったと考えられます。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例3]交通事故後、遠絡医学による分析で、「低髄液圧症候群」と診断し、頭痛が改善した症例(60代・男性)

60代男性。平成25年5月15日、乗用車を運転中、赤信号で止まっている時に、後続車に追突されました。

頚部痛、頚椎運動制限、背部痛、腰痛、上肢の痺れがあり、激しい頭痛(起立性頭痛)を伴いました。他院の整形外科を受診、理学療法を受けましたが、頭痛が改善せず脳外科を受診。頭部CTは異常所見なし、外傷性頚部症候群の診断のまま、リリカや筋肉弛緩剤の処方をされ、理学療法の継続加療をしていました。

1年間のリハビリ治療をしましたが、頭痛などの症状が改善しないため、当院へ紹介されました。

初診時に、頚部の重み、頚部後屈困難、上肢の痺れ、不眠、めまい、倦怠感、座位時の激しい頭痛の訴えがありました。

遠絡医学の分析により「低髄液圧症候群」と診断し、頭痛は遠絡療法による治療で、その場で軽快しました。

脊髄液が漏れを確認し確定診断をするために専門病院へ紹介し、低髄液圧症候群と確定しました。その後、その病院で硬膜外自家血注入2回を施行し、他の諸症状も改善することができました。

解説:

遠絡医学では、低髄液圧症候群の原因が2種類あります。ひとつは、交通事故などの外傷によるアトラスの炎症が原因となるものです。延髄背側の正中口を圧迫し、髄液が下の中心管へ流れないため、脳脊髄液減少症を生じ、「低髄液症候群」になります。MRI検査では、延髄の腫れ所見、及び延髄と小脳の距離の狭窄が見られます。もう一つの原因は、「脳脊髄液減少症」です。脳脊髄液腔を覆っている硬膜に亀裂などが生じ脳脊椎腔から脊髄液が露出している像が見られれば、診断が可能です。頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、倦怠感などが見られますが、頭痛は起立位や座位により悪化することが特徴です。遠絡医学に基づき、症状から病態を分析することで、より適切な診断、治療を行うことができた症例です。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例4]頚椎捻挫による急性期の痛み(8才・女児)

患者の8歳の女児は、体育の授業で後転の練習を特訓している際に首を痛め、受傷当日当院を受診されました。あまりの痛さに、頚部は左に曲げてうつむいた状態からほとんど動かすことができませんでした。

まず、頚部の脊髄のライフフローを調整する治療を行い、痛みは若干軽減しましたが、まだ頚部を動かすことはできません。手の治療ポイントの刺激を行い、さらに、鼻の下の人中と呼ばれるポイントを刺激すると、女児が「あれ?あれ?」と頚を動かし始め、痛みも大幅に軽減しました。

[症例5]頚椎症性神経根症(76才・女性)

洗濯物を干すために上を見上げた時や右に顔を向けた時など、動作時に頚部につっかかり感や痛みがあり、頚部を動かすことが怖いとのことでした。安静時も常に後頭部から背中にかけて重い鈍痛がある状態です。初回の治療で、頚部のライフフロー調整を行い、すぐに頚部の動作時の痛みがなくなり、後頭部から背中にかけての鈍痛も改善しました。外観上も頭があがり姿勢が良くなられ、歩行時に足を上げるのも軽く感じると、喜んでいただきました。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

医療従事者向け

1-外傷性頚部症候群の分類

(1)頚椎捻挫型

頚椎運動制限
頚部痛から肩にかけての痛み
頭痛 吐気 神経所見がみられない

(2)神経根症状型

Spurling test(+)
知覚障害
左右いずれか一方の肩から指にかけての痺れ

(3)自律神経症状型

頭痛 耳鳴り
めまい 吐気 目の疲労

(4)脊髄症状型

上肢の痛みやしびれ 巧緻障害
下肢の痛みやしびれ
頚椎の骨折や脱臼を伴うことが多い

(5)脳脊髄液減少症

起立性頭痛 耳鳴り
倦怠感 めまい

(1)頚椎捻挫型

胸鎖乳突筋などの筋肉が複数損傷される。或いは頚椎の骨と骨を繋ぐ椎間間節の捻挫。重度の場合は椎間板も損傷されることもあります。頚髄運動制限、頚部痛、頭痛、吐気、めまいなどがみられる。軽度の場合は3週間以内で軽快するが4ヵ月症状が続くことも少なくない。XPでは頚椎の彎曲異常が見られる、神経的所見は見られない。

(2)神経根症状型(頚椎椎間板ヘルニア)

Spurling testは典型的なものは少ないが、神経根の出口を狭めることで、肩・腕・手に疼痛やしびれが放散する。

知覚障害はC7/8神経根レベルが多く、ついでC5/6の順です。C2神経根の損傷では後頭部痛がおこる。

椎間板が変性や損傷を起こすと線維輪が膨張したり、これが切れて髄核が脱出し、後側方へ神経根を圧迫すれば、radiculopathy(根症状)(図1)、後の脊髄に大きく突出すれば、myelopathy(脊髄症状)(図2)を起こす。

髄核が飛び出た方向によるヘルニアの分類

正中型ヘルニア

脊髄の真後の中央にヘルニアが出て脊髄を圧迫すると、両手両足のしびれや背筋の真ん中に痛みが出るという特徴があります。

傍正中型ヘルニア

脊髄の片側の後ろにヘルニアが出て脊髄や神経根を圧迫すると圧迫された側の手足に痛みやしびれが出ます。

外側型ヘルニア

斜め後ろにヘルニアが出ると外側型ヘルニアと呼ばれます。脊髄の端から片方の神経根が圧迫され、片腕や手指に強い痛みをきたすことがあります。

►頚椎ヘルニアの神経根支配領域と症状

C4/5 C5/6 C6/7 C7/8
腱反射 異常ない 減弱 減弱 異常ない
筋力 異常ない 三角筋萎縮 二頭筋筋力↓ 三頭筋筋力↓
知覚障害 側頚部から肩に広がる痛み三角筋に痺れ感

上腕から前腕外側に放散する痛み母指示指に及ぶ。

痛みは前腕中央から中指へ広がる。

痛みやしびれは前腕内側を薬指・小指に放散する。

(3)自律神経症状型(バレ・リュー症候群)

フランスの神経医BarréとLiéouはむち打ち事故のあと後頭部痛、めまい、耳鳴、眼精疲労、全身倦怠、動悸などの症状が出たり出なかったりすることを報告した。

これは前頚部頸動脈の近傍にある星状神経節(前頚部交感神経系)と椎骨神経叢は連絡があり、頚部筋肉への血流が変化するために様々な不定愁訴が出現すると考えられる。

慢性化、難治傾向を示すものが多い、改善まで6ヵ月から1年かかることもあります。

(4)脊髄症状型

頚椎の骨折や脱臼を合併することがあります。手の巧緻運動障害、痺れ、筋力低下、重度では下肢の麻痺、膀胱直腸障害が出現することがあります。

頚椎を後ろへ反らせると痛みが強くなりますので、上を見ることや、うがいをすることが不自由になります。上肢の筋力低下や感覚の障害が生じることも少なくありません。

加齢による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の進行によって肩~腕の痛みが生じます。頚椎を後方へ反らせると、脊髄から分かれて上肢へゆく神経根が圧迫や刺激を受け、症状が増強します。

(5)脳脊髄液減少症

脳脊髄液腔から髄液が持続的或いは断続的硬膜外に露出したり、脱水などにより失われることによって髄液が減少し、起立時に脳が下方へ牽引され、起立時頭痛に起こります。典型的には、起立して数分~数十分すると後へ引っ張られるような強い頭痛がおこり、横になると改善します。

他に、項部痛、めまい、耳鳴り、倦怠感など様々な症状を起こします。

2-頚部痛の治療

消炎鎮痛剤
湿布
理学療法 治療は、基本的に保存療法が多い。受傷後3-5日の急性期は鎮痛剤や患部を冷やす、頚椎カラー(コルセット)をつけることもあります。低周波、干渉波、温熱療法などの理学療法を開始します。
リハビリ 痛みのピークを超えた後、亜急性期・慢性期には、頚部周囲の筋肉を緩めたり、可動域を広げるためのリハビリテーションを行います。緊張している頚や肩甲骨周囲の筋肉を緩め、最終的に頚を動かしても痛みが出ない状態を目指します。
鍼灸 東洋医学、漢方の処方
遠絡療法 重症の痛み、痺れの改善にお勧めします

2-難治性頚部痛の原因と治療

症状:頑固な頚部痛・肩こり・上肢の痛み・しびれ

3-頚部痛に対する遠絡療法

アトラス(第1頚椎)は、重い頭部を支え負担がかかりやすく炎症も起きやすい部位です。 ライフフローの滞りや詰りも、最も起きやすい部位と考えています。

遠絡医学では、頚部の痛みはアトラスの脊髄や脊髄神経の微細炎症による神経線維の圧迫によるものと考えます。ソフトレーザーを使用して、頚部脊髄のライフフローを調整し、さらに手足の治療ポイントを押し棒で押圧刺激して頚部から肩にかけての流れを調整するこことで、ほとんどの頚部痛をその場で改善することが可能です。(炎症の完全な鎮静には、繰り返しの治療が必要です。)

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

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当院での治療実績が多い疾患