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医療法人東西医会 小泉医院遠絡医療

埼玉県草加市中央1-1-18  048-927-5370

帯状疱疹
(Herpes zoster)
帯状疱疹後神経痛
(PHN)
(Post-Herpetic-Neuralgia)

難病指定医·遠絡指導医による
遠絡医療・バイオレゾナンス
EAT. ア-ユルヴェ-ダ. リハビリ

の診療をしている総合医院です

患者様向け

帯状疱疹後神経痛(PHN)

(たいじょうほうしんごしんけいつう)

「風があたっても、衣服が触れてもビリっと痛い。」
「剣山でグサグサ刺されるように痛い。」
「中からガンガン響くような鈍痛に定期的に襲われる、、、。」
帯状疱疹の発疹が消えた後も、外見からはわからない激痛に
苦しむ患者様が薬や注射に頼らない安全・安心の「遠絡療法」
で大勢、笑顔になっています!

Contens

【患者様向け】

  1. 帯状疱疹(たいじょうほうしん)について
  2. 帯状疱疹の発生機序
  3. 帯状疱疹後神経痛の遠絡医学による病態解説
  4. ④帯状疱疹後神経痛の治療法
    1. ④-1 一般的な治療法
    2. ④-2 遠絡療法による治療
    3. ④-3 補助療法(自分でできる治療)
    4. ④-4 帯状疱疹後神経痛の遠絡治療についてのQ&A
  5. ⑤遠絡療法による治療症例

1-帯状疱疹(たいじょうほうしん)について

水痘(すいとう)および帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)により引き起こされます。

帯状疱疹は、幼児期に感染した水痘ウイルス(ヘルペスウイルス)が脊髄後根神経節(顔面の場合は三叉神経節)に遺伝子のみの形で潜伏しており、ストレス、加齢、過労等の宿主の細胞性免疫力低下が低下して、ウイルスが活発化した結果、発症します。

神経に沿って帯状に発疹·水疱·痛みが出現します。最初は皮膚の違和感から始まり、触覚·圧覚などの感覚低下、続いて温度覚·痛覚が過敏になり、帯状に疱疹が出現します。

我々の研究データでは、最も多い出現部位は胸部、最も治りにくいのは上腕部及び下腹部です。発症後なるべく早期に皮膚科などで抗ウイルス剤を用いた治療を行うことが、後遺症を防止する為に重要です。

2-帯状疱疹の発症機序

水痘と帯状疱疹、同じウイルスで起こる病気です、ウイルスの形はほぼ球状で、外にスパイクを有し、遺伝子DNAを2重の膜が包んだ構造をしています。水ぼうそうは最初に発赤、ついで水疱形成、その後「かさぶた」が形成され、ほぼ1週間で すべての発疹が「かさぶた」になり、感染力が消失します。

水ぼうそうが治癒したあとは、患者さんは無症状で生活していますが、ウイルスは脊髄後根神経節に遺伝子の形で潜伏し、加齢、ストレス、過労などにより宿主(しゅくしゅ)の細胞性免疫が低下したときに、潜伏していたウイルスが再び活動を始め、神経を上行して皮膚に到達することで帯状疱疹が発症します。

後根神経節内に潜伏感染していたウイルスが再活性化されると、神経節内で増殖し、増殖したウイルスが知覚神経を通って、表皮細胞に感染。赤い丘疹や水疱が神経の走行に沿って帯状に出現します。

発疹には、7-15日前後で痂皮(かさぶた)ができ、他の人に感染させる力(感染性)がなくなります。最終的には痂皮がはがれて治癒しますが、元どおりの皮膚に戻るのには1ヵ月ほどかかります。

3-帯状疱疹後神経痛の遠絡医学による病態解説

脊髄後根知覚神経の神経節や頭蓋内神経節に潜伏している帯状疱疹ウイルスが知覚神経線維に沿って、神経線維を障害します。遠絡医学では、この病態を「神経線維破壊症候群」として捉えています。

帯状疱疹の発疹部分の皮膚を触ると表在感覚である疼痛の亢進 (電撃痛)、或いは温度覚の亢進(灼熱痛)が発生します。そして、皮疹のところに感覚の異常(触覚・圧迫覚の低下)を伴います

帯状疱疹は2種類の痛みを生じさせます。一つは擦り傷のような痛み、もう一つは皮膚の深部で蠢く(うごめく)ような痛みです。痛み表現は多彩で: ズキズキ(throbbing)、ジンジン(tingling)、キリキリ(stabbing)、チクチク(pricking)、自発性疼痛・灼熱痛(spontaneous aching or burning)、発作性電撃痛(paroxysmal shooting pain)、アロディニア(allodynia)、痛覚過敏(hyperalgesia)などがあります。

▶遠絡医学による概念:神経線維破壊症候群

遠絡医学的には、帯状疱疹は神経線維破壊症候群のひとつとして捉えています。

遠絡の創始者柯尚志医師は、神経線維が破壊され、表在感覚である温度覚・痛覚が亢進し、触覚と圧迫覚が低下している病態を「神経線維破壊症候群」と提唱しました。

様々な種類の疼痛や症状の病態を、遠絡医学の診断学によって分析すると、多くは局所(Regional)の問題でなく、大脳、下位脳、脊髄、脊髄神経などの中枢に原因があります。柯尚志医師は、その原因部位によって、「神経線維破壊症候群」を下記の5つに分類しました。

定義:神経線維が破壊され、表在感覚である温度覚・痛覚が亢進し、触覚と圧迫覚が低下している病態を伴う症候群。

診断基準:①触ると電撃痛(痛覚の亢進)或いは灼熱痛(温度覚の亢進)が発生する。
     ②感覚の異常(触覚・圧迫覚の低下)を伴う。

障害部位による遠絡的分類

Type1:上位脳(大脳)の神経線維破壊によるもの
片側の上肢、下肢或いは顔面、躯幹に症状が認められる。

Type2:下位脳(間脳、脳幹、小脳)の神経線維破壊によるもの
例:三叉神経痛

Type3:脊髄(SC)の神経線維破壊によるもの
頭部の表面、上肢(肩関節を含む)下肢(股関節を含む)に症状が認められるもの

Type4:脊髄神経(SN)の神経線維破壊によるもの
躯体に症状が認められるもの。例:帯状疱疹後神経痛(PHN)

Type5:区域的に発症したもの
末梢神経が障害された部位と、それが支配する末梢の領域に症状がみとめられる。
例:CRPS

4-帯状疱疹後神経痛の治療法

1)一般的治療法

帯状疱疹が治癒しても、1割程度の方に神経痛が残る場合があります。疱疹ウイルスによって神経線維が破壊された状態です。治療には、神経線維の修復・再生が必要となります。
帯状疱疹後の神経線維の修復・再生には2~3年かかります。一般的には、下の1−4の治療が行われます。

  1. 1,免疫力の回復
    休養、蛋白質の摂取、r-グロブリンの投与
  2. 2,薬物療法
    抗うつ薬、抗てんかん薬、リドカイン製剤、オピオイド、カブサイシン
  3. 3,神経ブロック
  4. 4,脊髄電気刺激療法
    硬膜外腔に電極を留置して脊髄を電気刺激することで痛みを緩和する治療

2)当院で提供している治療法:遠絡療法

現代医学の治療は、主に疼痛の除去に重点が置かれています。脊髄・脊髄神経の「神経線維破壊症候群」という病態に対しての根本治療になっていません。遠絡医学では、破壊された脊髄の神経線維の修復に重点を置いています。

遠絡療法を継続することで、帯状疱疹後神経痛の疼痛(触ると悪化する電撃痛や灼熱痛、皮膚の表面がピリピリするこすり傷のような痛み)は、早い方で治療開始後1ヵ月程度、多くは約3~6ケ月程度で軽快します。しかし、破壊された神経線維の範囲や重症度によっては、神経線維の修復に2-3年またそれ以上かかる場合もあります。

  1. 1,免疫系の増強 中枢の調節
  2. 2,知覚障害の範囲の治療
    触圧低下
  3. 3,神経線維が破壊された部分を通るラインの治療
    痛み

知覚障害(触覚、圧迫覚低下)及び神経破壊(激痛)の範囲を検出

帯状疱疹後神経痛の治療の重要な点は、ウイルスによって傷ついた、脊髄・脊髄神経の神経線維の修復をすることです。しかし、一般的な治療では、神経線維の修復に有効な治療法がありません。

遠絡療法では、ライフフローの流れを強化することで、ウイルスに対する免疫力を向上させながら神経線維の修復を促進することができます。

具体的には、脳幹部~頸椎部脊髄と脊髄神経、及び、患部の脊髄神経の根元にあたる脊髄レベルのライフフローをそれぞれ調節します。顔や喉、体幹部前方を通る「任脈」というラインにある遠絡独自の治療ポイントにレーザー光で刺激します。脳や脊髄のコントロールをしている「督脈」というラインが調整され、ライフフローが改善します。このレーザー光を使用した治療により、脊髄の神経線維の修復が促進されます。

ほとんどの方は、治療後すぐに痛みが和らぐなどの効果を実感できます。さらに、必要な場合は脊髄神経から症状部分(局所)の神経線維の修復を促進する治療も行います。

3)帯状疱疹後神経痛の補助療法(自分でできること)

電子レンジで温めた蒸しタオルを患部にあてて、ピンポイントに「熱刺激」を与えて局所の回復を促進させます。

►①蒸しタオル療法

【用意するもの】
  • やや厚手のフェイスタオル
  • 電子レンジ
【方法】
  1. タオルを折る
    タオルの長辺を3つ折りし、さらに半分に折ります。
    (電子レンジに入る大きさにする)
  2. タオルを水で濡らし,水がしたたらない程度に絞ります。
  3. 温める
    電子レンジ600ワットで1~1分半程度
    手で持てるギリギリの温度になるよう温めます。
  4. 患部にあてる(3~5分)
    痛みのある部位に直接タオルを当てます。
    熱すぎると思ったら、すぐに離しましょう。
    冷めたら終わります。

「高めの温度で刺激する」のがポイントです。
火傷しないように、我慢できるギリギリで試してみてください。

►②晒(さらし)・幅広の包帯・などで圧迫する方法

【用意するも】

幅のひろい晒(さらし)
※薬局のまたは着物を置いている店(呉服店)で購入可能
または、幅広の圧迫固定用包帯(伸縮性のない包帯)など

[適応]

皮膚表面にこすり傷のようなヒリヒリ感が伴う痛み、服がわずかに触れてもビリッと電撃痛が走る場合などに、皮膚表面から強い圧を加えることで痛みが緩和します。体幹部(背中~脇~腹部)や腕、腿など比較的患部の面積が広い場合に有効です。
痛む部位を少し強めにしっかり圧迫しながら巻くのがコツです。巻き終わりは、サージカルテープ等で固定します。

※サージカルテープは、包帯などを止めるベージュの簡易テープです。薬局で販売しています。布が留まれば他のものでも代用可。

例)下腹部の帯状疱疹後神経痛イラストは下着の上からになっていますが、皮膚の上から直接圧迫がより効果的です。

►③生活リズムを整える

帯状疱疹は、疲労の積み重ねなどにより免疫力が低下した状態で発症します。
帯状疱疹後神経痛の痛みも、疲労や睡眠不足がより悪化させます。
精神的または肉体的な疲労を回復させること、日頃から栄養と睡眠を充分にとり、適度に運動を行うなど、心身の健康に気を配り体力を低下させないことが大切です。
また、できる範囲で好きなことや趣味など自分が楽しく感じられることに取り組み、痛み以外のことに神経を集中させること。ヨガや瞑想などに取り組むなど、痛みを脳で感じにくくする働きを活性化させることも大切です。

例)感謝の瞑想
感謝をすると脳内神経伝達物質セロトニンが分泌されます。
ゆっくりと息を吐きながら「ありがとうございます」
またゆっくりと息を吸いながら「感謝いたします」

深い呼吸を意識しながら、
神経を修復させるために頑張っている自分自身の体への感謝から始めてください。
椅子に腰かけて目を閉じながら2~3分からでも取り組んでみましょう。
できれば、10分、20分と時間をのばしていきます。
1日2回を目標に行いましょう。

以上。ご自身で少しでも良くなるために取り組めることをご紹介しました。

4)帯状疱疹後神経痛の遠絡治療に関するQ&A

Q1 何回くらい通う必要がありますか?
帯状疱疹によりダメージを受けた神経線維の範囲や重症度により、週1~2回の治療が2~3ヵ月、場合によっては疼痛緩和までに半年、一年とかかる場合もあります。個人差がありますが、初期治療の効果によってある程度推測は可能です。
Q2 薬、注射、鍼灸、マッサージなど他で受けている治療はやらない方が良いでしょうか?
遠絡療法を行うことで、体の自己治癒力が活性化されます。他の治療の効果も出やすくなります。薬や注射を自己判断でやめることはおすすめしません。主治医とご相談ください。その他の鍼灸やマッサージにつきましては、強い刺激のものでなければ問題ありません。ご心配な場合は、直接ご相談ください。
Q3 予約の取り方を教えてください
電話またはメールにて受け付けております。予約状況は日々更新されますので、電話でのお問い合わせをお勧めしております。

[症例1]腹部の帯状疱疹後神経痛(PHN)

50代女性。仕事などで過労がありました。突然下腹部に発疹と痛みが出現し、皮膚科で帯状疱疹と診断をされゾビラックス内服治療を受けました。へそより下の右腹部に赤い斑点が残り、剣山で刺されるような強烈な痛みの為に眠ることができなくなりました。下着など衣服がふれてもビリッと電気が走るような痛みが常にある為、精神的にも鬱状態。ペインクリニックでリリカを処方されましたが、効果が感じられませんでした。インターネットで遠絡療法を知り受診。初回治療より、治療後すぐに痛みが改善するのを実感されました。治療後、半日程度でまた痛みは戻ってきましたが、週2回継続治療を実施。3ヵ月程度の治療で、ほぼ痛みは無くなり症状が出ても日常生活には支障を来さなくなりました。

解説:
この患者様は、、遠絡療法の早期加療によって3ヵ月程度という短い期間で治癒しました。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例2]右後頸部から肩にかけての帯状疱疹後の激痛

77才、男性。一年前に右耳介後方から頸~肩に帯状疱疹を発症し、発疹が治癒した後も、ピリピリする痛みと風邪にあたると激痛を感じるようになりました。各医院を転々と受診されましたが軽快せず、遠絡療法での治療目的で来院されました。
初回の遠絡治療にて:痛み、痺れは10→2と軽快。
5回目の治療で治療直後には痛み、痺れは0となり、その日1日中良い状態が持続しました。その後も、週2回の継続治療を実施され、3ケ月程度の治療で、ほぼ痛みは出なくなり、2年の治療で痛みと痺れは完全に消失しました。

解説:
帯状疱疹後神経痛による疼痛は、通常3-6ケ月で軽快しますが、完治に至るまでは時間がかかります。この方の場合は、非常に広範囲に神経線維破壊の状態があり数年はかかると推測しておりましたが、遠絡治療による神経線維の修復促進が功を奏し2年で治癒に至りました。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例3]右臀部から足先の帯状疱疹後のしびれ、痛み

85歳 男性
平成29年7月 右の臀部から足先にかけて夜間に眠れないほどの痛みがあり、翌朝にすねから足の甲にブツブツと発疹ができました。すぐに皮膚科を受診。帯状疱疹と診断を受け点滴と飲み薬の処方を受けました。じきに発疹は消えましたが足の痛みは変わらず、ノイロトロピン、リリカなど痛み止めが処方されましたが、飲んでも全く効果を感じない状態が続き、眠れない夜が続きました。
8月中旬に遠絡療法での治療を開始。右臀部の痛みと、足に強い低周波をかけているようなビリビリした痛みがありましたが、治療後に軽くなることを実感。週1~2回治療を継続し、6回目の治療後には、拍動痛が「痛いというよりマヒしたようなシビレ感」へ変化。8回目の治療後には、それまで痛くて足に力を入らずペダルをこぐことができないでいた自転車に乗ることができるようになりました。14回目の治療後、まだ足趾(あしゆび)の感覚が少しにぶいような感じは残りましたが、痛みは全く出なくなったため、終了となりました。

解説:
この患者様は、鎮痛剤も効果なく、夜間もほとんど眠れず食欲も低下されたということで、少しでも苦痛を和らげたいとご家族に付き添われて受診されました。高齢ではありましたが、発症後1ケ月程度のごく早期の段階で治療を開始し、腰~足部のライフフローを遠絡治療により促進することで短期間で神経線維のダメージを修復することができました。感覚の低下に関しては治療を継続することでさらに改善することでしょう。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例4]左後頸部から下顎、肩にかけての帯状疱疹後の激痛

俳句を下さった患者様(76歳 女性)は、2018年4月に左の顎から首、耳の後ろにかけて帯状疱疹を発症。その後、神経痛が後遺症として残りました。耳の後ろにドックンドックン、ズキンズキンと拍動と共に疼痛があり周囲が常にビリビリした状態で、鎮痛薬、神経ブロック注射、鍼治療、漢方など色々治療を受けましたが効果なく、7月末に当院を受診されました。初回の治療後は10だった痛みが8へ軽減し、「突き上げるような中からの痛みが軽くなった」との感想でした。その後、神奈川県横浜市から片道2時間近くかけて埼玉県草加市まで週2回のペースで通院され、10回目の治療時は、日常感じている痛みの度合いは、最も痛かった時を10とすると5程度まで半減し、痛む範囲も狭くなってきました。3ヵ月経過された時点で、耳の下のキュンキュンという締め付け感はありますが、日常的にはだいぶ楽に過ごすことができるようになり、上の俳句を作ってきてくださいました。最初の数回は治療後の変化があまり感じられず不安もあったようですが、現在は治療中も笑顔が絶えず会話を楽しまれています。

解説:
頚椎(C2/3)からの神経支配領域、後頭神経、三叉神経の枝で耳介側頭神経などの帯状疱疹後神経痛の患者様です。脳の血管や三叉神経には、セロトニンをキャッチする受容体があります。痛みのストレスで血小板からセロトニンが大量に放出され、頭蓋内外の血管が収縮し、続くモノアミンオキシダーゼによる5-HTの急速な代謝によって、血管が拡張し、血管通過性の亢進を生じて、更にウイルスの破壊を受けた三叉神経から炎症性の痛み物質が放出され、脳血管は更に拡張し、三叉神経を圧迫、ズキンズキンと脈打つような痛みを生じます。治療効果が出始めるまでに時間はかかりましたが、ご本人が週2回の通院継続を努力してくださったため確実に改善しつつあります。神経線維の破壊を修復していくには時間がかかります、最初の数回で諦めないということが大切です。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例5]左臀部~大腿後面~陰部にかけての耐え難い痛み

59歳 女性  愛知県豊川市
平成30年3月下旬より左の臀部がチクチク痛み、2日後に発疹が臀部から大腿部にかけて大きく拡がり皮膚科を受診。帯状疱疹の診断で治療を受けたが強い痛みが残りました。
ペインクリニックでリリカ、トラマール、トリプタノールなど強い痛み止めの処方を受け、神経ブロック注射も繰り返しましたが効果が感じられず、痛くて座る必要があるときも腰を浮かしていないと耐えられない状態。体重も減り、2ケ月後には足裏にシビレも発症しました。発疹は消え、皮膚はきれいになり、外見上、皮疹は分からなくなりました。しかし痛みは強くて、医師からも「そんなに痛いの?」と言われ大変辛かったとのことでした。
発症から4ヵ月後の8月に当院を受診され、遠絡療法による週2回の治療を開始。1ヵ月後8回目の治療後には、漢方薬以外の痛み止めを飲まずに我慢できるようになりました。初回時に10だった痛みも波はあるものの6~7と落ち着いてきたため、愛知県内で当院と同じ治療内容が可能な先生にご紹介し、地元での通院に切り替えとなりました。

解説:
帯状疱疹に罹患した患者の90%は後遺症なく治癒します。ただし、約10%程度の方に帯状疱疹後神経痛が後遺症として残ると言われています。帯状疱疹ウイルスによる神経線維の損傷により、神経痛の重症度にも大きな個人差があります。この患者様の場合は、臀部から下肢、陰部という大変デリケートな部位に広範囲に神経痛が残り、帯状疱疹後神経痛の中でも重症なケースです。遠絡療法の治療を積み重ねることで、徐々ににかつ段階的に痛みが改善していきます。

当院で提供している遠絡療法で、ウイルスに破壊された神経線維の修復を促進することで徐々に回復していきます。(痛みの消失、感覚障害の治癒にいたるまでの期間は、神経線維破壊の範囲や治療頻度にもより個人差があります。)

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

下記に、遠絡療法で治療をしつつ、日常生活を少しでも楽に過ごしていただく為にお勧めしている方法をご紹介します。

医療従事者向け

帯状疱疹後神経痛(PHN)

(たいじょうほうしんごしんけいつう)

Contens

【医療従事者向け】

  1. 帯状疱疹後神経痛(PHN)とは
  2. 帯状疱疹後神経痛の病態メカニズム
    1. ②-1 神経損傷による痛み
    2. ②-2 神経再生による痛み
    3. ②-3 交感神経活動に伴う痛みが発生する病態
    4. ②-4 神経障害性疼痛におけるアロディニアの原因
    5. ②-5 帯状疱疹後神経痛の病態と治療(動画)
  3. ③帯状疱疹後神経痛に対する当院の治療

1-帯状疱疹後神経痛(PHN)とは
(Post-Herpetic-Neuralgia)

「風があたったり、衣服が触れてもビリッと痛む」「剣山でグサグサ刺されるような痛み」「体の奥でゴワゴワしたような痛み」(患者様の表現より)

帯状疱疹が発症すると、ウイルスによって神経線維がダメージを受けます。そのダメージの程度によって、帯状疱疹が治癒した後も後遺症として神経痛が残る場合があります。

帯状疱疹後神経痛またはPHN(post-herpetic neuralgia)と呼ばれ、焼けるような痛み(灼熱痛)や電気が走るような痛み(電撃痛)が発生します。

ヘルペスウイルスによる神経線維のダメージの程度が、非常に重度であった約10%の方に帯状疱疹後神経痛の症状が後遺症として残ります。遠絡医学の診断学では「神経線維破壊症候群」のひとつとして捉えています。

2-帯状疱疹後神経痛の病態メカニズム
(痛みが強く、長く続く)

1)神経損傷による痛み

①髄鞘の長期脱髄による異常発火

正常な有髄神経(Aβ、Aδ線維)では、跳躍伝達により刺激が伝わるが、神経が損傷すると、ミエリン髄鞘の脱髄がおこり、正常な伝達ができなくなる。一方、脱髄が長く続くと、軸索が細くなり、新たなNa+チャンネルが大量に発見されるため、神経が興奮しやすくなり、自然に異常性発火を起こして痛みになる。

②脱髄による電気信号の混線(エファプス現象による痛み)

触覚の有髄神経Aβ線維はミエリン髄鞘により神経活動が絶縁されているが、神経損傷部分は絶縁が禿げた状態となっているため神経伝達が周囲にある痛覚の無髄C線維神経を刺激すると、エファプス現象(触覚と痛覚の混線)がおこり、触っただけでも痛みがおこるアロディニアが発生する原因です。

2)神経再生による痛み

①神経腫の形成

②交感神経受容体の出現

末梢神経が障害された場合は、神経の断端から新しい神経の再生(発芽)がおこる。しかし、神経再生を妨げる瘢痕などの障害物があると、神経の発芽がうまく成長できず、神経腫が生じる。神経腫はとても過敏で軽度の刺激で痛みを起こす。

発芽した神経線維やDRGの細胞体に交感神経の受容体が出現することで、交感神経に反応して痛みが生じる。

③損傷した神経から異常発火

④過剰な神経再生物質による発火

①正常時の神経線維の発火は受容器の興奮により起こるが、神経損傷で発芽した神経線維は線維の途中から異常発火がみられる。

②神経を再生するため、DRGにある細胞体では様々な物質が作られ末端へ大量に送られる。しかし、損傷している末端ではこれらの物資をすべて使うことができず、発芽した線維の先端に溜まり、異所性発火が見られ、痛みの原因となる。

3)交感神経活動に伴う痛みが発生する病態

神経損傷のない時に後根神経節(DRG)の中には、交感神経の線維は存在していない。

ポリモータル受容器などの侵害受容器には、交感神経が放出するアドレナリンに反応するアドレナリン受容体は存在していない。

末梢神経障害時にはポリモータル受容器にアドレナリン受容体が出現し、交感神経の活動に伴い放出されるアドレナリンに侵害受容体が反応してしまうため、痛みを誘発する。

神経損傷時には交感神経の線維がDRGの大型細胞(触覚Aβ線維や痛覚Aδ線維の一部)に侵入するため、交感神経線維から放出されるNoradrenalineに反応するようになり、痛みが誘発される。また、DRGの小型細胞(痛覚Aδ線維の一部やC線維)やその神経終末にも病態時にはNoradrenalineα2受容体が出現するため、痛みを誘発するようになる。

(出典:『痛み・鎮痛の基本としくみ』より改正)

4)神経障害性疼痛におけるアロディニアの原因

(アロディニアの原因はいくつもありますが、代表的な一つを説明しましょう)

慢性的な炎症や末梢神経の障害が起こると、神経修復のため、神経成長因子(NGF)が産生され、C線維に取り込まれてDRGに運ばれ、脳由来神経栄養因子(BDNF)が産生し脊髄後角に分泌される。

BDNFが分泌されると、普通第Ⅲ層と第Ⅴ層に入力した触覚のAβ線維が痛みを伝える第Ⅱ層にまで枝を伸ばす。本来痛みを感じない、ただ触れるだけのような刺激も痛みとして感じアロディニアが発生する。

5)帯状疱疹後神経痛の病態と治療(動画)

①帯状疱疹概念

②帯状疱疹病態

③帯状疱疹治療

④帯状疱疹の情動系

6)帯状疱疹後神経痛に対する当院の治療(遠絡療法)

►帯状疱疹の痛み・しびれに対する遠絡療法

►帯状疱疹の神経線維再生のためのレーザー光による治療

帯状疱疹後神経痛は神経線維の破壊によりピリピリする触れない痛みが発生し、その神経線維に炎症が起こり、周りにサイトカインの産生が亢進される。創傷治癒は、組織の破壊や血液の侵入により周囲に線維芽細胞や炎症反応細胞が集合することに始まり、その後、細胞外マトリックスの分解、合成により組織の再編築や創傷増殖因子により線維芽細胞が増殖してコラーゲンの合成が促進され、血管が新生し肉芽が再生される。線維芽細胞の増殖や血管新生が起こることにより組織が修復される。その後、時間の経過とともに肉芽が収縮し上皮が再生され組織の修復が終わる。レーザー治療は遠赤外線効果という外的刺激によってその線維芽細胞を活性化しコラーゲンの合成促進により創傷治癒を促進することで治癒過程に大きく寄与している。

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