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医療法人東西医会 小泉医院遠絡医療

埼玉県草加市中央1-1-18  048-927-5370

三叉神経痛
(Trigeminal neuralgia)

難病指定医·遠絡指導医による
遠絡医療・バイオレゾナンス
EAT. ア-ユルヴェ-ダ. リハビリ

の診療をしている総合医院です

患者様向け

三叉神経痛

顔面痛の原因として:
①三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛によるケース
②脳卒中の後遺症の一つとして痛みが出るケース
③遠絡医学的にはアトラス(頚椎1番)の炎症が顔表面縦方向の痛みとして出るケースなどがあります。正しい診断が大切です。

俗に顔面痛を顔面神経痛と呼ぶ場合がありますが、これは間違いです。
顔面神経は、表情筋をコントロールしていますので、障害されると顔のツッパリ感や麻痺の症状となります。(顔面神経麻痺のページへ

顔の痛みのほとんどは、三叉神経の障害が原因の場合が多いので、ここでは三叉神経痛について解説します。

1-三叉神経の解剖と顔面の支配領域

三叉神経は12対の脳神経の中で最も太い神経で、運動神経と感覚神経を含みます。脳幹の橋の外側面から出る感覚根は三叉神経節を作り、顔面領域の感覚を司ります。顔面の感覚と口腔運動(筋肉)をコントロールしている脳神経(第5脳神経)です。三叉神経は、第1~第3枝まで3つの枝に分かれます。

運動神経は橋の三叉神経運動核を出て咬筋や側頭筋に分布し物を噛む運動を行います。

感覚神経は、橋にある触覚担当の三叉神経主知覚核と橋から上部脊髄にかけて分布する温痛覚担当の三叉神経脊髄路核を出て合流し、三叉神経節を作り、そこから三叉神経第一枝眼神経、第二枝上顎神経、第三枝下顎神経に分岐します。それぞれの触覚や温痛覚を脳に伝えます。

2-三叉神経痛の原因

三叉神経痛の責任部位は、三叉神経節(半月神経節)と橋との境目であり、三叉神経はシュワン細胞(末梢性髄鞘 まっしょうせいずいしょう)という細胞によっておおわれています。一方、脳幹の中はオリゴデンドロサイト(中枢性髄鞘:ちゅうすうせいずいしょう)という細胞におおわれています。三叉神経の根元は、この2種類の細胞の移行部位になります。神経髄鞘が中枢性髄鞘から末梢性髄鞘に移行する組織学的に脆弱な部位であります。細胞の層が薄いところに動脈があたり長年にわたり拍動で刺激し続けると、おおわれている細胞が弱ってしまい、その上に動脈や腫瘍などの機械的圧迫で脱髄が起こりやすくなり、軸索間に電気的短絡が生じて疼痛発作が出現します。

血管が三叉神経のどこにあたっても激痛がおこるわけではありません。神経が脳幹から出る根本のあたりに接触した場合にのみ発生します。動脈硬化がおこると、動脈はグニャグニャと蛇行するようになり、ねじ曲がった動脈が三叉神経にあたるようになり、三叉神経痛をおこすことになるのです。その他の原因として、加齢、脳腫瘍や高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病があげられます。

3-三叉神経痛の症状

顔面に電気が走ったような強い痛みが、一瞬から数秒ほど続きます。洗顔、歯磨き、髭剃り、咀嚼(そしゃく)など、さまざまな動作によって痛みが誘発されます。話したり、食事をするたびに激痛が走るなど、日常生活に支障を来す場合もあります。顔の片側の痛みが主で、顔のゆがみや、手足の麻痺、言語障害はおこしません。

4-三叉神経障害のパターン

顔面の温痛覚障害は、三叉神経の障害位置によりパターンが分かれます。

1)三叉神経の分枝(三叉神経末梢側)で単独障害の場合

それぞれの三叉神経支配領域で温痛覚障害が見られます。

2)半月神経節から中枢側(三叉神経節と脳幹側の間)の障害

3)三叉神経中枢側の障害

►顔の温痛覚障害のパターン:遠絡的治療の考え方

5-三叉神経痛の治療

(1)一般的治療

1.薬物療法

テグレトール(薬品名)が処方されます。効果が得られなければ三叉神経痛ではない可能性が高いといえます(診断的治療)。副作用として、眠気、ふらつき、アレルギーがあります。

2.ブロック療法

局所麻酔薬の注射、無水アルコール注射、加熱による焼灼などがあります。この治療法は、内服治療の次に身体的負担の少ない方法ですが、副作用として治療後に顔の感覚が鈍くなる場合があります。 まれに、治療で刺激された部位が新たな痛みの原因になることもあります。

3.手術「微小血管減圧術」

三叉神経を顕微鏡で覗き、三叉神経と接触している血管を外す手術を行います。

4.放射線治療

三叉神経を放射線で照射する治療です。正常な細胞にも影響してしまうため、この選択肢は内服薬が効かない、副作用で薬が飲めない、高齢あるいは全身状態が不良で手術ができない時の最終手段といっていいでしょう。

(2)三叉神経痛に対する遠絡療法

遠絡医学では、三叉神経痛とは三叉神経の神経線維が圧迫もしくは破壊されて発生する痛みと捉えています。

治療は、まず最初に中枢の治療として、第一頚椎アトラスより三叉神経が始まる脳幹部「橋」に波及している炎症を治療します。具体的には、まず治療に適した周波数のレーザー光を、顔やのど、頚部などにある遠絡医学独自の治療ポイントにあてて、脳幹部など中枢を流れるライフフローを改善します。

そして、指にある治療ポイントを2~3分押し棒による押圧刺激で治療します。

治療中より、三叉神経痛の痛みが改善するのを実感できます。

アトラスから脳幹にかけての炎症が改善し、神経線維の圧迫や破壊の修復がされるまでは継続治療が必要です。しかし、ほとんどのケースでは数回の治療で生活に支障がない程度に改善しています。

►遠絡療法による右三叉神経痛の除痛ポイント

[症例1]食べ物を噛むと奥歯にピリッとした激痛・50代の女性

50代の女性の患者様です。特にきっかけはなく食べ物を咬むと、奥歯にピリッと激痛が出るようになり、歯科を受診し三叉神経痛と診断されました。
鎮痛薬を処方されましたが服用しても改善がみられず、遠絡療法による治療を希望し当院を受診されました。三叉神経の核のある脳幹部(橋)のライフフローを改善する治療と、指の治療ポイントを押圧したところ、その場で奥歯の激痛は出なくなりました。

解説:

顔の奥から横方向に発生する触れると悪化する痛み、針で刺すような痛みは三叉神経痛の特徴です。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

[症例2]眼の奥の鈍痛・激痛・瞼が閉じてしまう(眼瞼下垂)48才男性

48歳の男性です。当院に初めて来院された前年より、ハードワークと海外出張が続き、5ヵ月前より、特にきっかけはなく、両目のまぶたが開けにくくなり右眼の奥の激痛が起こったそうです。

その後、1回数十分の激痛発作が右眼または左眼、時には両側に、毎日必ず4回起こる状態。激烈な痛みの為、仕事中も個室に移動しうめきながら発作がおさまるのを待つ状態。

眼科、神経内科、耳鼻科、その他で様々な検査を行いましたが、異常はみつからず、入院検査にて、唯一、帯状疱疹ウイルスの抗体が上がっていた為、発疹の無い帯状疱疹の神経痛ではないかという診断を受けたとのこと。座薬を使うと痛みは少し改善しますが、激しい痛みの為、1日量をはるかに上回る量を使ってしまう為、使用しないように努力している状態でした。

インターネットで遠絡療法を知り、当院にお問合せいただきました。第1回目の治療後、すぐに下がっていたまぶたが上がり、眼の周りの鈍痛が緩和しました。その後、治療のたびに、1日に起こる激痛発作の時間が少なくなり、まぶたが下がることも減りました。単身赴任の関係で、5回目の治療より大阪の遠絡療法連携医院にて継続治療を実施し、6回目の治療後は、まぶたが下がることがほとんど無くなり、さらに1日に起こる発作回数も減少しました。現在完全治癒に向けて継続治療中です。

作用機序はホームページの「遠絡療法」をご参照ください。

医療従事者向け

1-三叉神経の顔面から大脳感覚野までの経路

三叉神経脊髄路:一次ニューロンの末梢側神経線維は顔面に分布します。中枢側神経線維は橋から脳内に入り尾側へと下行し、橋の三叉神経主感覚核(識別性の触圧)に終わります。そして、更に三叉神経脊髄路を下行し、三叉神経脊髄路核(非識別性の触圧、温痛覚)に終わります。

三叉神経視床路:三叉神経脊髄路は種々のレベル:延髄下部(M)、Atlasレベル(A)、頸髄上部(Cs)まで下行し、各レベルの三叉神経脊髄路に存在しているニ次ニューロンとシナプス結合します。ニ次ニューロンの神経線維は正中交叉し、Uターンして頭側へ上行して視床に至ります。

一次体性感覚野:三叉神経視床路は、視床の後内側腹側核(VPM)に存在している三次ニューロンとシナプス結合します。三次ニューロンの神経線維は視床を出て内包後脚を通り大脳の一次体性感覚野に投射します。

2-顔に現れた痛みの分布部位で、
三叉神経の障害位置が推測できます

(1)三叉神経より末梢側の不完全圧迫

責任部位 症状
三叉神経分枝 分枝領域の横の全感覚障害

横ラインの痛み

遠絡医学の定理「顔と体幹の横の線の痛みはSN(Spinal Narve)の不完全圧迫による」において、顔の場合のSNに相当するものは三叉神経です。顔の横の線の痛みは三叉神経の不完全圧迫によります。三叉神経節より末梢側での不完全圧迫、すなわち脳神経由来の痛みです。この横ラインの痛みは上顎神経領域または下顎神経領域が主であり9割が下顎神経領域です。(柯尚志医師)

(2)三叉神経節と橋との境目の圧迫(三叉神経痛)

三叉神経痛の責任部位は、三叉神経節(半月神経節)と橋との境目であり、神経髄鞘が中枢性髄鞘から末梢性髄鞘に移行する組織学的に脆弱な部位です。そのため動脈や腫瘍などの機械的圧迫で脱髄が起こりやすく軸索間に電気的短絡が生じて疼痛発作が出現します。

*三叉神経領域の障害頻度:
Ⅴ2上顎神経領域とⅤ3下顎神経領域の神経線維の障害の頻度が高い。Ⅴ2は38%、Ⅴ3は35%、Ⅴ2Ⅴ3の合併は15%、Ⅴ1眼神経領域は5%未満といわれています。

*男性より女性の症例が多いです。

*多くが片側性で右側の頻度が高い。両側性は3~5%であり、両側性のときは多発性硬化症を考えます。

*V1眼神経で若年者、角膜反射減弱ならば腫瘍を考えます。三叉神経痛の10%が腫瘍によるといわれています。

*動脈による場合は、脳底動脈の枝の前下小脳動脈が屈曲して圧迫する場合が多いです。

(3)橋または延髄の圧迫

病側の①前庭神経核:めまい、眼振及び②迷走神経背側核③孤束核④疑核による球麻痺、味覚障害、カーテン症候⑤顔面の温痛覚障害⑥下小脳脚:小脳失調⑦頸から下の温痛覚障害のWallenberg症候群(延髄外側症候群)があります。

(4)アトラス近傍で三叉神経脊髄路の圧迫

責任部位 症状
下部延髄~上部頸髄 同心円状の縦の温痛覚障害

►三叉神経脊髄路の特徴

顔面の末梢側領域Mを支配する三叉神経(中枢側)は延髄下部レベルまで下行します。顔面の領域AのものはAtlasレベルまで下行します。顔面の領域Csのものは頚髄上部レベルまで下行します。三叉神経脊髄路の最外側にⅤ1眼神経が、その背側にⅤ2上顎神経が、最背側にⅤ3下顎神経の神経線維が通っています。Csまで下行する線維はⅤ1眼神経が最多であり、Ⅴ2上顎神経・Ⅴ3下顎神経は少量です。AtlasレベルではⅤ1眼神経・Ⅴ2上顎神経が多く下り、Ⅴ3下顎神経は少量です。

M 延髄下部

延髄下部レベルの圧迫:
主にⅤ1眼神経・次にⅤ2上顎神経・Ⅴ3下顎神経が影響を受けます。

A アトラス

AtlasレベルSCの圧迫:主にⅤ1眼神経・次にⅤ2上顎神経が影響を受けます。

Cs 頚髄上部

頚髄上部レベルの圧迫:主にⅤ1眼神経が影響を受けます。

(日本遠絡統合医学会 渡辺実千雄医師作成資料より)

(5)視床の顔面の感覚障害

責任部位 症状
視床 対側顔・半身の全感覚障害

(6)内包後脚の顔面の感覚障害

責任部位 症状
内包後脚 対側顔・半身の全感覚障害・片麻痺

3-顔面の感覚路障害のまとめ

(1)横ラインと縦ラインの痛み(遠絡医学的見解)

温痛覚線維の障害部位によって顔面皮膚の感覚異常の分布パターンが異なってきます。脳内で三叉神経分枝が圧迫されるとその支配領域に感覚障害が出現します。顔奥から出現する線のパターンの横方向の痛みは、脳神経の第七番顔面神経と第五番三叉神経の末梢側の神経線維の不完全圧迫によります。症状は顔面神経の場合は顔の変形と牽引痛(こわばり・引きつり)となって現れ、三叉神経(主に第3枝下顎神経)は顔奥から横方向に線のパターンで出現します。顔面神経が肝経AxII・脾経AxIの横、三叉神経は肝経AxII・肺経TxIの横です。

アトラス近傍で三叉神経脊髄路が圧迫されると玉ねぎ状の温痛覚障害が出現する顔の表面の縦方向の痛みは、三叉神経第1枝眼神経と第2枝上顎神経の領域に縦方向に区のパターンで出現します。症状はライン肝経AxII・肺経TxIの縦です。

(2)障害部位と症状

►顔面の感覚路の障害(症状と責任病巣)

症状 責任病巣
1 顔面分枝V1.V2.V3の各々全感覚障害 三叉神経節より顔面側 横の症状
2 同側の顔面片側の全感覚障害 三叉神経節から中枢側 三叉神経痛
3 同側の顔面片側の温痛覚障害 橋または延髄 ワレンベルグ症候群
4 同心円状縦の温痛覚障害 下部延髄~上部頚椎 縦の症状
5 対側顔・半身の全感覚障害 視床 視床出血
6 対側顔・半身の全感覚障害
片麻痺
内包後脚 視床出血+内包

(以上 日本遠絡統合医学会 渡辺実千雄医師 講義資料抜粋参照)

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